香川県香川郡直島町八幡神社

 随神門木造随神像(矢大神・左大神)修復 2006

 

監修   三輪途道

彫刻修理 藤田尚樹

彩色   篠崎悠美子

 

   Photo/渡邊修

《修復の経緯》

 「直島スタンダード2展」に三輪が出品を依頼され、彫刻の猫2匹を八幡神社拝殿、1匹を随神門に展示することになった。その展覧会に合わせて随神門内の矢大神・左大神を修復することになり、三輪の監修のもとで、彫刻修理を藤田尚樹、彩色を篠崎悠美子が担当することになった。

 

 

《像の概要》

 随神像の多くは江戸期に作られたものが多く、寺の山門にある仁王像のように阿吽で表現されたものや、左右二神とも口を開けた状態で彫られたものなど、造形の約束事はゆるやかである。台座となる胡床や持物の弓と矢の持ち方も比較的に自由に表現されている。

 直島の随神像は江戸中期ころの作と推定される。造形的には直線的な彫りが目立ち、装束の処理はあいまいで、顔や手の表現などもかたさが感じられる。また、彩色層は全体的に汚損、剥落して木部が露出し、面貌は黒色化していた。

 

《修復方針》

 文化財の修理では現状修理という、現在の文化財の状態をできるだけ尊重し、維持していくことを目的とした修理と、復元修理という文化財の制作当時の状態にできるだけ近づけることを目的とした修理があり、今回は後者の復元修理を行うことになった。

 彫像は経年劣化のために木部が腐朽し欠損部も多かったので、彫刻部は全面的に修理を施して像容を整えることにした。さらに彩色部は幾度か塗り替えられており、前回の彩色は明治期のものであると思われるため、彫刻部の修理の際に彩色層全てを除去し、随神装束の束帯を考証し、復元彩色を施すことにした。

 ただし、拝殿は現状のままであるということ、随神門も随神像に合わせて修理をするが、現状修理であるということ、そして直島という土地柄、ベネッセアートサイト直島の活動により、現代美術を町全体に設置している状況から、復元彩色はできるだけきらびやかな色合いのものは避け、落ち着いた彩色に仕上げるのが妥当だと判断した。